九州大学大学院医学研究院精神病態医学 行動療法研究室

Laboratory of Behavioral Therapy, Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medical sciences, Kyushu University

ためこみ症

ためこみ症は、
①物を大量に集める
②その所有物の整理整頓ができない
③所有物への執着が強くて捨てられない
という病状です。

集めるものは人によって様々です。例えば、本、新聞、衣類、靴、レシート、文房具、空き箱、空き缶、テープ、時には電化製品や家具、動物などが挙げられます。本人は集めているものに有用性や美的な価値、強い愛着を感じているため、このことが処分を困難とし、その人の生活空間を蝕みます。しばしばマスメディアに取り上げられる、「ゴミ屋敷」と呼ばれる社会問題との関連も強いようです。

ためこみ症状は、典型的には10代に発現し、20代中頃には個々の日常生活機能を脅かし始め、30代中盤には臨床的に著しい障害をきたすとされています。ためこみ症の経過は慢性かつ持続的で、自然軽快は少なく、単身生活やパートナーの不在で、より悪化する傾向にあります。

人生早期に発症し、重篤な社会機能および生活機能障害をきたすため診断を確定し治療を行うことはとても重要ですが、患者さんとその家族、そして時に医療者も、ためこみの問題が精神科医療に関係するものとは、現時点ではほとんど認識されていません。

ためこみ症の治療については、まだ標準化されたものはありませんが、認知行動療法の技法を利用した治療が、ある程度の有効性を示しています。私たちは、認知行動療法や薬物療法の可能性を探索するとともに、家族関係や生活環境の調整といった心理社会的背景へのアプローチも行いながら、ためこみ症治療にあたっています。

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九州大学病院精神科神経科 行動療法専門外来
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