九州大学大学院医学研究院精神病態医学 行動療法研究室

Laboratory of Behavioral Therapy, Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medical sciences, Kyushu University

その他の疾患について

恐怖症

恐怖症とは、特定の状況(高所、閉所など)や対象(注射、血液、昆虫など)によって、強い恐怖や不安を感じてしまい、これらを積極的に避けることで、生活に支障を来すものを指します。

恐怖症の認知行動療法では、例えば注射恐怖の人では、「まず注射器を見る」、「次に注射器を刺されている人を見る」、というように段階的に避けている場面や対象に対する曝露を行い慣れていく治療を行います。

抜毛症・皮膚むしり症

抜毛症は繰り返し髪や眉毛を抜き、皮膚むしり症は繰り返し皮膚をむしる行為が持続します。これらの行為をやめたくてもやめられず繰り返されることから強迫症と関連が深いことが知られています。それらの行為によって緊張感や「モヤモヤした感じ」を解消するタイプや、殆ど無意識に行為が始まり無意識のうちに終わっているタイプが知られていますが、両者が混合しているタイプが多いようです。

抜毛症・皮膚むしり症の認知行動療法では、抜毛や皮膚むしり行為が無意識に始まっていることへの気づきを増やすための取り組みを始めることが多いです。

社交不安症(社交不安障害)

社交不安症とは、「人前で話すとき、極度に上がってしまう、ひどく動悸がする」「人前で字を書くとき、手が震えてしまう」など、日常生活が送れなくなるほど人前で強い恐怖や不安を感じてしまう病気です。

社交不安症の認知行動療法では、不安を生じさせる否定的な考え方のパターンに患者さん自身が気付き、修正をおこないつつ、不安や身体症状を感じる社交場面に少しずつ直面するような取り組みが行われます。身体感覚に向き過ぎている注意を身体以外に柔軟にシフトできるようなトレーニングを行います。

パニック症(パニック障害)

パニック症とは、突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、震えといった急性の不安発作が頻発し、コントロールできないと感じます。また発作が起きたらどうしようかと不安になり(予期不安)、発作が起きやすい場面や発作が起きたら困る場面を避けるようになり(回避行動)、生活に大きな支障をきたすようになります(広場恐怖症の合併が多い)。

パニック症と広場恐怖症の認知行動療法では、例えば、パニック発作が生じることへの不安から電車に乗ることができなくなっている人では、「まず駅まで行ってみる」、「次に電車を眺めてみる」、というように段階的にその方が避けている場面に対する曝露を行います。また、パニック障害を維持させている「死んでしまうかもしれない」、「意識を失うかもしれない」といった破局的な考え方のパターンに気付き、修正をおこないつつ、身体感覚に向きすぎている注意を身体以外に柔軟にシフトできるようなトレーニングを行います。

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九州大学病院精神科神経科 行動療法専門外来
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